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誰かのために働きたい

”今時の子”も胸の中に
ポスター活用しボランティアを
ガキ大将だって大活躍

Aoki

2000年 5月27日(水)産経新聞静岡版”学びと教えの現場から”掲載
 「今時の子供は、自分のことしか考えない」という言葉をよく耳にします。教育現場に身を置く私も、たまにそう感じることがあります。でも、そう言われると悔しくもなります。
 "今時の子供"であっても、他の誰かのために役立ちたい、とちゃんと考えているのですから。

 ある日、6年生用の掲示板にポスターを貼りました。「ボランティア募集! スポーツテストの幅跳びのために、砂場の砂起こしをやります。手伝ってくれる人は、下の名簿に名前を書いて下さい」−。
 初めての試みです。何人の子が書いてくれるだろうかという不安がありました。が、数日で、十数人分の名前が並びました。子供たちの反応がよいのでうれしくなりました。
 作業当日、名前を書いた子全員が集合し、砂起こしをしました。スコップを使った力仕事でしたが、子供たちは一生懸命働きました。おかげで、砂場はふかふかになりました。
 この時の様子をデジタルカメラで撮りました。そして、その画像をポスターにして張り出しました。「ありがとう。おかげで、砂場がやわらかくなりました!」という言葉を添えて。
 このポスターに多くの子供たちが注目しました。その頃は画像を使ったポスターがめずらしかったのです。砂起こしに参加した子達は自慢げな顔を見せました。
 このポスターが効きました。次に、体育館のいす運びボランティアを募集したところ、前の3倍くらいの子達が集まりました。彼らもまた、砂起こし同様、一生懸命働きました。
 その後も、掲示板でボランティアを募集し、働きぶりをポスターで報告するということを続けました。。ポスターを見てボランティアに参加する−これが、子供にとって,普通のことになっていきました。

■為すことで学ぶ■

 ポスターに載りたいという動機だけで働きにくる子もいました。私は「それはそれでよし」と思いました。「人は為す事により学ぶ」と考えたからです。
 駐車場の落ち葉拾いのボランティアを行った時のことです。集まった子の中には、ガキ大将のA君もいました。彼はポスターに載りたいと考えて参加してきた子です。その彼が、落ち葉を拾いながら言いました。「先生、側溝が汚いよ。ここもきれいにしなくっちゃ。でも、もう時間が無いよ。」私は「それなら、君がボランティアを募集してみたらどうだい。」と返事しました。
 無責任な行動が少なくない彼が、本当に実行するかどうかはわかりませんでした。しかし、彼の行動力に期待したのも事実です。
 A君は、もうひとりのガキ大将B君と二人で呼びかけポスターを作りました。少しばかり雑な文字で「側溝をきれいにしよう! やってくれる人は名簿に名前を書いて下さい。」と大きく書かれていました。
 この活動にもたくさんの子が集まりました。いつもはふざけているAB両君も、この時ばかりはどろだらけになって働きました。自分で考え、人を集め、事をなしたのです。
 子供から呼びかけたボランティアはこれが初めてのことでした。A君の行動は画期的なものだったのです。6年の担任一同、「A君って、やる時にはやるもんだなぁ。」と見直しました。

 "今時の子供"であっても、人のために役立ちたいと考えています。ただ、そのやる気をうまく行動に移せないところがあるのです。
 「誰かのために何かをしたいけれども、何をどうしたらいいのかわからない。」というわけです。そういった子達の背中をぽんと押してあげるのが、私たち教師の仕事だと考えています。
 「よく働くすばらしい子達ですね。今年の1年生はすごいですよ。ありがとうございました。」
 これは、A君達が入学した中学校から届いた言葉です。

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